誰がために鐘は鳴る上/ヘミングウェイ(高見浩訳)

こういうのって描かれた経緯とか、作者の評価とか立ち位置みたいなのをある程度頭に入れて読むのとどっちがいいんすかね。大体、頭に入れてから読んだ方が面白いとは思うんだろうけど、まあ、そういうの聞いちゃうと読みが固定されるか、まあ、そこまではいかなくても何も知らない状態とは違う読みになるのは間違いないわけで。

 

とはいえ、何も知らない状態で自分が考えることが別に大したことないから気にせず頭に入れて読めばええんじゃないのって気がしてきた。

 

なんかさ、会話表現のうまさとか、キャラ描写のうまさとか、その辺をもうちょっと解像度上げて理解するために、創作まではしなくとも、創作論的なものにちょっと触れたくなってきた。なんかいい本とかないですか。

 

でもなー、自分の目にあまりにも信用がない(というか人の言ってることをへーそうなんだってすぐ受け入れちゃう。だから、例えば前情報としてヘミングウェイの文章は格調高いんだって言われたらなるほど確かに!と思っちゃうし、平易で分かりやすいって言われたら、それも確かに!ってなっちゃうんだよな。ていうかそもそも訳文だし。これって、面白かったらヘミングウェイ褒めたらいいの?それとも高見浩を褒めるの?わからないから文章自体を褒めることにします。どっちがすごいのかは知らん。

 

・大人数で酒飲みながらがやがや喋ってるところ、正直例えとか、話の内容はピンとこないやつもあるけど、それでもがやがや感というか、本当にそこで喋ってる感じを出すのは上手いと思った。

 

・アンセルモ絶対死ぬと思った。なんか裏切る伏線みたいなのあってずっと身構えてたけど、普通にいいじーちゃんだったわ。アンセルモの独白人柄の良さがにじみ出てて好きなシーンだな。主人公の独白は正直あんまピンとこなかった。堅物が愛に目覚めてってことなんだろうけど、この主人公の主義信条とか、過去とか、ほかのキャラに比べてあんま掘り下げられないから今んところピンとこない。

 

・町の革命のシーンは結構しんどかった。これって実話をもとにしてる感じなんですかね。

 

・ピラールのキャラがすごくいい。一番イメージに近いのは、ラピュタの。彼女の面白いのは過去だな。過去のエピソードが今目の前のそのキャラクターを形作っている感じ、がすごくいい。回想の語りもうまい。それでいうと、同じ理由でパブロも結構好きだけど、立場上ボロクソいわれててかわいそう。

 

 

・SEXシーンにも品というか、格調があるね。SEXシーンはやっぱり、段々高まってく感じを文章で表現するために、勢いというか、盛り上がりの演出が必要なんだと思うけど。春樹君が「あ、あああああああっ」とずっと言ってたけど、ヘミングウェイは「虚無へ ひたすら虚無へ もはや耐え切れず高みへ」って感じだもんな。いろんな表現があるんやね。

いや別に、比べてどっちが良いとかって話しするわけじゃなくて、なんか面白いねってだけ。あと、大地が動くって表現いいね。

 

まだ鐘はなってないけど、多分最後に鳴るんでしょうね。正直、ここまでは前夜祭みたいなもんで、みんな死んでくんだろうし、続き見たいような見たくないような。